471 :sage:2011/02/04(金) 01:43:19 ID:TrO8MMSL0
終電もとっくに過ぎた深夜。一人残業してたら足元がぐらぐら揺れた。
結構強い揺れだったので、携帯でニュースの確認をしようとしたら
ちょうど母さんから電話がかかって来た。
「もしもし、孝?今結構揺れたやろ?そっちは大丈夫なん?」
「横にぐらってきたけどすぐ止まったし、大したことないで。そっちは?」
「猫ちゃんが怖かったんか朝から姿見えへんのやけどね。まぁ食器何枚か割れたぐらいやわ」
「そうか。母さん、怪我とかしてへんよな?」
「大丈夫大丈夫!あんたも気いつけや。ほなね!」
母さんの元気そうな声を聞いたら何かほっとした。
俺は窓を覗き込む。地上のイルミネーションは遥か下方に広がり、
客待ちのタクシーの列が俺の心を映したように退屈そうに見えた。
なんだか、疲れが溜まっているな。連日の寝不足で頭がはっきりしない。
締め切ったオフィスビルで一人残業していると、どうにも心が殺伐としてしまう。
次の連休には実家に帰ってのんびりしよう。たまには親孝行もするか。
疲れた頭でぼんやりと考えていると、顔なじみの守衛さんが見回りに来た。
「山田さん、お晩でごす。怪我ばねじゃか?」
「あぁ、おじさん。ご苦労さまです。こちらは大丈夫ですよ」
「それはよがた。生まれてはんでずっどこさ住んでらばって、
こしたら地震は初まなぐてじゃ」