毎年夏祭りの日、あたしは娘を連れてマンションの屋上へ行く。
まだ、おさない娘は、お祭りの人ごみの中では花火がよく見えないと思うの。
だから娘がおさないうちは、屋上から花火を見ようと思ってる。
娘は高い所が少し怖いらしく、あたしに今年も聞いてくる。
「ねえママ、今年も上から花火を見るの?」
「そうよ。」
「どうしていつもあそこから見るの?」
「あなたがまだ、おさないからよ。」
「おさないとダメなの?」
「ダメじゃないけど、おさないうちはあそこから見た方が良いのよ。」
「じゃあママ、今年はおさなくないよ。」
「ふふ、何言ってるの。あなたはまだおさないわよ。」
「そんなことないもん!」
ムキになった娘は、もうおさないないことを今年は証明してくれるらしい。
まだ高い所は怖いと思うんだけど、一体何をしてくれるのか楽しみ。