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意味がわかると怖い話1103 「タイムカプセル」

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俺とKは久しぶりに母校の小学校へ足を運んだ。
ちょうど二十年前に埋めたタイムカプセルを掘り返す日が来たのだ。
懐かしい顔ぶれを眺めた後、俺はやつれたKをちらりと見た。
Kはつい最近、婚約者に結婚寸前で捨てられるという辛い目にあったばかりで、
当然そのショックはまだ生々しく残っている。
今日のこの同窓会を兼ねたイベントが、
Kの傷ついた心をわずかでも癒してくれれば、と願わずにはいられなかった。
たしか全員「二十年後の自分へのメッセージ」という手紙を書いて一緒に埋めたはずだ。
自分のはまるで思い出せないが、
子供の頃から図抜けたギャグセンスの持ち主だったKなら、
間違いなく笑える「メッセージ」を書いていたことだろう。
そんな他愛のないことでも、
Kが苦難を乗り越えるきっかけになれば、と思い、俺は無理にKを誘ったのだ。
予想通り、俺が埋めた品々と書いた手紙はじつにしょーもないものだった。
中でも当時の人気マンガの主人公のヘタクソなエンピツ画は、見るほどに恥ずかしくも微笑ましい。
そして自分にあてたメッセージは、流行語にもなったそのマンガの主人公の決めゼリフをもじった一言、
『おまえはまだ生きている!!』。それだけ。
苦笑しながら、ふと思い出した。
そうだ、このネタはたしか、Kのアイデアを真似たのだ。本家のKはなんて書いてたんだっけ?
「おーいK、これさぁ、たしかおまえも同じような――」そう言って隣りのKを見た。
Kは異様な真剣さで古びた手紙をじっと見つめている。掴んだ指先が、震えている?
やがてその顔にゆっくりと笑みが広がった。長い付き合いの俺でさえ見たことのない、奇妙な笑みが。
「……俺、未来を予知してたのか」Kは変に熱を帯びた声でつぶやいた。
「へ? 見せてくれよ」俺はひょいとKの手元を覗き込んだが、Kはなぜか隠した。
チラッと見えた言葉は、〈おまえの〉と〈んでいる〉。 「教えてやるよ。そのうち、な」
それから一ヶ月後、Kが婚約者とヨリを戻したと聞き、俺は心から安堵した。
やはりあのカプセルは過去からの素敵な贈り物だったのだ。
俺の見た奇妙な笑みは、単なる気のせいだったに違いない。
それにしても、Kの手紙には何が書かれていたのか。
「そのうち」教えてくれると言っていたが……


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