「画面が汚いですね。あんな鮮やかさのない薄汚れた画面じゃあ」
と井戸敏三兵庫県知事から指摘された第1回の平清盛だけど
NHKとしては「そうですが、何か?」と答えるしか仕様が無い。
だって、穢れを押し付けられていた「武士」が
華やかな貴族の世界を打ち破る、というのが
「平清盛」のメインテーマなんだから、
この時点の清盛は汚らしくないと物語りは成り立たない。
40年前の「新・平家物語」は画像的に言うと
綺麗とか、汚いとかいうレベルじゃないし
(一応カラー作品だったらしいけど、現存してるのはモノクロとカラーの総集編のみらしい)
大河ドラマは「龍馬伝」よりプログレッシブカメラを使っているので
見ようによっては汚らしさがよりリアルになる訳ですな。
心配しなくても神戸が舞台の福原京の頃には
清盛もすっかり「驕る平氏」となって絢爛豪華となっている筈だし、
実は井戸敏三兵庫県知事もアホじゃないんだから、そんな事は先刻ご承知。
この過激な発言は「平清盛」の初回視聴率が思わしくなかったので
それに対する助け舟、「話題作り」である。
「私も日曜日観ました。画面が汚いですね。あんな鮮やかさのない薄汚れた画面じゃチャンネル回す気にならないんじゃないかというのが第一印象。家のテレビ、色がおかしくなったのかなと思うような画面だった。プロデューサーも意図があるのかも知れないが、あんな汚い画面を日曜日の憩いどきにやらなくてもいいんじゃないか。もっと華やかで、生き生きとして躍動感の溢れる清盛らしさを強調して頂くといいなと思った」
不思議なもので、ここまでボロクソに言われると反対に興味が出るのが人間。
「どんなに汚いか、一回観てみたろ」と。
だからこそ翌日に神戸市の矢田立郎市長がすかさずフォローしてるんですな。
本来の舞台の京都府知事や京都市長
後の舞台の広島県知事や廿日市市長
の発言が全く伝わってこない事からも、
これでNHK大河ドラマのご当地競争にて
神戸の印象が完全にリードした。
この発言がなければ
「平清盛」=「神戸」って連想は地元の方以外は薄かった筈。
自分が悪役を演じる事で、
NHK大河ドラマ「平清盛」の話題作りにもなり
翌日、市長がフォローを入れてる事で神戸市のイメージダウンにもならない。
「ドラマの人気が出るかでないかで観光の影響を受ける。
タイアップしながら観光客誘致を進めたいと考えていた」
この発言で神戸市が
「KOBE de 清盛2012
」と言うイベントを市内各地でやっている宣伝にもなった。
政治家の一見軽々しい発言を
そのまま「失言」と受け止めるのは
判ったような「おこちゃま」でしかない。
大人の世界は結構強かなのである。