日付の部分が引用元の○章○節であるらしい。
ある昼下がり。
小鳥のさえずる森の中を、一人の少女が走っていた。
「お母さん!どこにいるの?」
叫ぶ少女。だが答えは無い。
そのうち少女は、とある家の前に辿り着いた。
「ここね!ここにいるのね!」
そう言って少女は扉を開けた。
だがそこにあったのは、たった一つの日記帳。
何も無い家の中心にポツリと置かれている。
少女はそっと手に取り、読み始めた。
『私の娘へ。
あなたがこの日記を読んでいる時、
私はもうおそらくこの世にはいないでしょう。
私の顔を全く憶えていないあなたに、
この日記を贈ります。
生まれてすぐに、あなたは
あなたのお父さんの手により、私のもとから離れました。
私はユダヤ人ですが、お父さんはそうではありませんでした。
だから私のもとにいると、生まれたばかりのあなたまでもが
ゲシュタポに逮捕されてしまう可能性があったからです。
私はいずれ、ナチスの強制収容所に入れられてしまうでしょう。
幾日かをそこで過ごした後に、
多くのユダヤ人の仲間たちと共に殺されてしまうはずです。
私はいつでも神を信じ、けっして希望は捨てません。
しかし、なぜ彼らはこのような非道な振る舞いをするのか、
私にはわかりません。
(近づく時計の針・変な色の人たち)
(ローマ人への手紙9章33節)
この日記を読んだとき、
きっとあなたは強い悲しみに包まれていることでしょう。
でも、いつまでもその悲しみ捕らわれないでいてほしい。
いつか、必ず喜びはやって来ます。
(詩編126章5節)
いつも喜びを忘れないで。
絶えず祈りなさい。
すべての事について感謝しなさい。
決してナチスに屈せず、強い意志を持ち続けなさい。
あなたにはそのような人になってほしいと思います。
(テサロニケ5章16~18節・ヨブ記9章33~35節)
私は、いつでも神様と一緒に
あなたを見守っています・・・ 』
少女は突然、日記帳を閉じた。少女は気付いてしまったのだ。
そう。少女は、気付いてしまったのだ。
もう、この世にお母さんはいないということを・・・。
↧
《解説編》意味がわかると怖いコピペ661 「サンタさんがこない」
↧