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「トリプルA 小説格付会社」 黒木亮 著

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題名の通り、格付会社、
ムーディズがモデルの「マーシャルズ」
とそれを取り巻く人々の話である。

片山さつきがモデルと思われる、
とても高慢ちきな、嫌な大蔵官僚も登場する。

バブル前夜から、リーマンショックまでを描いているので
「失われた20年」について総ざらえ、総復習にもなる。
面白くて、上下刊をあっと言う間に読み切ってしまった。
ささやんには絶対オススメですな。

バブル崩壊後、邦銀達の不良債権隠しはたいがい酷いものがあったが、
それに対応する格付会社は更に無責任、
いや彼らのバックにはアメリカ政府がついていてい、
その利益の代弁者であったには、今となれば常識。
しかも格付会社はボランティではなく営利企業である。

企業がお金を払って格付をお願いする
『依頼格付』ではなく、
格付会社側が頼まれもしないのにする
『勝手格付』の場合でも、
「費用は頂きませんので調査のご協力だけを」
と資料提出・調査させておいて、
とんでもなく低い格付を出した後、1千万円単位の費用を請求する。
理由は
「我が社の格付によって御社は利益を得るのだから
 他の依頼格付の会社と比べて不公平である。
 応分の費用負担する義務がある」と。
更には
「勝手格付ではデータが少ないので格付が低くなりがち
 当社と契約を結んで依頼格付にして頂ければ格付が上がる場合が多い」
とか言い出す。

こりゃ、架空請求の詐欺集団となんら変わる所はないですな。
エロサイトも格付も同じようなもんという事。

この物語の後、更に欧州危機が世界を襲っている。
その次のターゲットは日本だとか。

たったひとつ、ムーディズが間違っていなかった事、
2002年に日本の国債をボツワナ並みにまで下げたと言う事実。
その後、日本は多重債務者の道を突き進み
公的債務の対GDP比は200%を超えている。

でも何故か現在の日本国債の格付は
Aa3
と当時より遥かに高い。

その理由は
「つける格付が高い方の格付会社に依頼するから。
 セールス上、高格付は必須」と方向転換したから。
格付とは決して投資家の為にされてるモノではないのだ。


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