この場所に立つと、余を一心に見つめる民たちの顔がよく見える。
側に控えた大臣が、詔を読み上げはじめた。
余は帝として、民のために尽くしてきたつもりだ。
親とはぐれて泣きじゃくる幼子を城にかくまい、水を飲ませて落ち着かせた事がある。
ある時は、民を守る騎士に、褒美として剣を授けた。
またある時は、貧困にあえぐ乞食に、打ち出の小槌を与えた。
寒空の下、一家総出で働かねばならぬ親子の家に暖かいものを届け、
その場で全員に休暇をくれてやった事もあった。
詔を読み終えた大臣から、民への号令を求められた。
我が国と民に幸あらんことを。そう告げた。
目を閉じると、余が施しを与えた民たちの顔が浮かぶ。
あの幼子。騎士。
乞食。家族たち。
みな一様に笑顔である。
帝よ共に語らわんと言うかのように、手招きを
ぐげ
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意味がわかると怖いコピペ652 「詔」
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