どっかのドラマ評論家もネットで
「『半沢直樹』は判り易い勧善懲悪ぶりが人気の秘密」
なんて言ってたけど、全然ちゃうからね、
少なくとも原作は。
反対に文庫版「オレたちバブル入行組」の巻末解説で新野剛志が
「善と悪をくっきり書き分けていない」のがより深く人間を描いている、と指摘している。
巻末解説は勿論、著者の池井戸潤もチェックしまくってる事だから、トンチンカンな内容では掲載されない。
つまり著者がある程度、「そうだ」と追認している事となる。
原作とテレビドラマは設定も変えているので、多少演出も違うと思うけど
若し単純に「勧善懲悪」「半沢直樹は正義の味方」
と思って観ていたら多分この後、がっかりするぞ!
あのラサール石井を追い詰めて行くシーンが本来の姿、
またそこで葛藤したりするんだけどね。
そして決して社会の為、銀行の為なんぞ思っていない、
(その意味ではNHKドラマ「七つの会議」の東山紀之の方が遥かに善人)
基本的には自らの利益の為に、次いで家族・同僚・同期の優先順位、
これは我々と何ら変わる処は無い。
後、上戸彩演じる半沢直樹の妻「花」役にも結構批判が多いけど、
反対にこちらの方が原作の設定に近いかも?
ただ、原作には社宅の「奥様会」なんて出てこない、
(「白い巨頭」やあるまいし、「奥様会」自体がフィクション?!)
で花は決して良妻ではなく、結構わがままでメチャメチャ言ってる。
でもそこが花の可愛いところで、半沢直樹がホッとしてるところでもあり、
そして、ここが一番重要なんだけど、
職場結婚でなく、銀行内部の事を知らない花の発言は、半沢直樹からすると非常識なんだけど
「銀行の常識は、世間の非常識。銀行の非常識は、世間の常識」
って事で、冷静に考えてみると花が常識・正しいかったりする。
支店長夫人への馴れ馴れしい口利き・態度のシーンを批判する声もあるが、
あれは勿論シナリオであり、
上記の発想からすると、「ハラハラしてしまう」上戸彩の演技は正解であり、巧いのである。
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ドラマ「半沢直樹」は決して「勧善懲悪」ドラマではない!「平成の水戸黄門」ではない!
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