『もし今俺が一つだけ願いが叶えられるなら、間違いなくこの犯人を生き返すだろう。』
普通、願いがひとつだけ叶うなら、
「息子を生き返らせて」だろう?
って事から
「語り手は精神に異常をきたしてしまった」
「真犯人は語り手」
説が挙げられるんだけど
注目は実は
『間違いなくこの犯人を生き返すだろう。』
この部分、
事件からわずか3年で死刑判決を受けた上、死刑執行までされているって事。
若しまだ死刑判決を受けてなかったら、願いは別に生き返らせず素直に
「この手で殺す」で良い筈だから。
犯行からわずか3年で死刑執行まで至った例として
附属池田小事件の宅間守の例が挙げられる。
彼の場合、死刑判決を受けた後、自ら控訴を取り下げ確定させ
更には6ヶ月以内に執行されない場合
『精神的苦痛を理由とする国家賠償請求訴訟、
及び法務大臣・野沢太三に対する特別公務員暴行陵虐致傷罪での刑事告訴を起こす準備をしていた。』
等々のプレッシャーをかけたため、異例の早期執行に至ったのだ。
(法律上は6ヶ月以内と定められているが実際は殆ど実現しない努力目標)
以上の事から、この犯人も同じような行動を取ったと思われる。
だいたい被害者一人で「死刑」というのも何かがあったという事。
若し語り手が犯人に罪をなすりつけた「冤罪」であるなら、
当然控訴は行うであろうし、死刑確定後も再審請求をする。
と言う事は、冤罪ではないか?若しくは語り手の父親に依頼されて子供を殺害したか?である。
経緯を考えると後者の方がつじつまが合おような気がする。
実行犯は犯人だけど、語り手が共犯、
目的は保険金か何かで、そのいくらかが犯人の親族に渡る契約になっていたとか?
犯行から2週間後の比較的スピード逮捕で
『「やっとか・・・」
警察は何やってんだと苛立っていた俺は男の逮捕に安堵の溜息をついた。』
との語り手の心境も納得出来る。