職場の同僚A、B、C、D、Eの5人が熱海の旅館で小さな忘年会を開いた。
熱海から戻って、Dが忘年会で撮ったフィルムを写真屋でプリントしてもらったところ、
旅館の仲居さんにシャッターを押してもらって撮った宴席での5人の集合写真に
不思議なものが写っていた。
Aの頭からうっすらと白い手が生えており、指を1本立てている。
Bの頭に生えている手は指を2本立てている。同じくCが3本、Dは4本、Eは5本。
Dは不吉なものを感じ、その写真を誰にも見せなかった。
自分も見なかったことにして忘れようとした。
年が明けると、あいついでA、B、Cが順番にそれぞれ病気、事故、自殺で亡くなった。
Dはいやでもあの写真を思い出さずにはいられなかった。「次は自分なのか・・・?」
しばらくして、Eが事故で死んだ。
5人のうち4人が死んでしまったことで、Dは問題の心霊写真の背後に霊力が
働いていることをいよいよ確信したが、自分の順番がとばされたことで、
「どうやら自分は見逃してもらえたらしい」と安堵した。
心に少し余裕が戻ったDは、忘年会の時に撮ったその他の写真を見直してみた。
その中に一枚、美しい花の写真があった。旅館の庭先の花を撮ったものだ。
その後まもなく、Dは自殺した。