佐藤浩市が涙もみせずに、たんたんと父親の事を語る姿をみて、
なんかぐっときてもうた。
50歳超えた男が、90歳の父親を亡くした時
わーわーと泣くわけにいかない。
いや多分、そんな単純な悲しさでも無い筈。
ましてやいろんな恩讐を超えた二人であるし、
我々には計り知れない感情が渦巻いていたに違いない。
いや、ひょっとして、この姿こそが佐藤浩市、一世一代の名演技かも知れない、
最期の親子共演として。
昭和の邦画ファンとしては三國連太郎と言う方は欠かせざる名優・怪優。
「八甲田山」の山田少佐のようなロクでもない上司役や
「皇帝のいない八月」の陸上自衛隊幕僚監部警務部長役、
特にリンチをもって自白させようとするシーン、
今でも脳裏に再生出来るくらい印象に残っている。
一転、平成に入っての「釣りバカ日誌」シリーズ
(正確には第一作は昭和63年)
の肩の力が抜けた「スーさん」役も嫌いではない、
なんか楽しそうに演じたはったもんなあ。
同年代の、同じ二世俳優で、共に今や日本を代表する俳優である
中井貴一が「やっぱり最近、お父さんの佐田啓二に似てきたよなー」
と言われてるのに比べて、さっぱり三國連太郎と似てこない佐藤浩市。
でもいつか、ふと見せる表情が「あっ、この表情お父さんとそっくり」
と感じるようになるんやろな、やっぱり親子やもん。