このような銀行立て籠もり事件が起こって、
我々の世代の人間が思い出されるのが
昭和54年の三菱銀行北畠支店人質事件
俗に言う「梅川事件」である。
あれは最低最悪の事件だった。
死亡者が銀行員2名、警察官2名に射殺された犯人の梅川昭美。
生き残った人質の方々にも想像を絶するような残虐な行為が繰り返されて、
余りの内容に、その全容は未だに公表されていない、とも言われている。
梅川が猟銃を持っていたのに比べて、長久保はサバイバルナイフであった事、
また現在ではSIT(刑事部捜査第一課に設置される特殊班)が存在する事、
もあり、19歳の女性が右腕にかすり傷を負った他は怪我人も出さず、
犯人確保まで13時間かかったとは言え、無事解決した。
とにかく良かったと胸を撫で下ろすと、今度湧いてくるのが犯人の要求
「野田内閣の総辞職」
には如何なる意図があったのか?という疑問である。
ご存知のように11月16日に衆議院は解散され12月16日に投開票が行われる。
そうなると
日本国憲法 第七十条
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、
内閣は、総辞職をしなければならない。
によって野田内閣は選挙の日から30日以内特別国会を召集して、当然に内閣は総辞職する。
つまり来年1月15日までに、ほっといても必ず野田内閣は総辞職する。
これは若し、民主党がまかり間違って単独過半数を獲得したとしても同じである。
だから長久保浩二容疑者が「9時までに野田総理を記者会見させろ」と言った要求
当然犯人の要求を呑むような会見を実現させる事は有り得ないけど、
若し万が一したとしたら
「ええ~っと、総辞職しますけど、、、日本国憲法良く読んでね」
としか言いようがない。
それとも、特別国会時とは言わずに、今この時点で総辞職しろ!という事か?
手続き的に可能かどうか?も不明だけど、
それ以前に、若しこの瞬間に総辞職したとしても、
特別国会で新総理が首班指名され、組閣され、天皇による親任式が行われるまで
現野田内閣が職務執行内閣であり、職務の範囲について通常内閣と法的な限界は無いとされる。
いやひょっとして、もっと高度な話で
「内閣不信任案が可決された時以外にも総理大臣に解散権があるのか?」
という裁判所が棚上げした議論に長久保浩二容疑者が一石を投じたい、って事であろうか?
それとも、それとも
「衆院解散した事を知らんかった?」
「総選挙したら、総理大臣が一旦辞めるって知らんかった?」